昨年の、特に思い出深い公演を振り返って参りました。
最後を飾るのは
『地蔵教由来』
です。
関西学院大学劇研究部創設100周年を迎えての記念朗読劇でした。
劇研究部(通称:劇研)のOBOG会が主催しての公演。出演の依頼ももちろんOBOG会から頂戴しました。
私は確かに劇研の出身です。
しかし、あくまでも劇研とは袂を分かつ流れでスタートした「爆劇☆団」の人間であり、「Theater Hi-Wind」の発起人であるので、純粋な劇研のOBOGの皆さまとは距離を置くという教えを守ってきました。
これは私だけではありません。現に、OBOG総会へ実際に参加される方の中に、爆劇☆団やTheater Hi-Windのメンバーは1人もいないはずです。意識するしないに関わらず、そういう教えが代々ミャクミャクと流れてきています。
「見合わせること」「遠慮すること」それはある種の敬意の形であり、誠意の表れでもあると思っております。なんとなく出ないのではなく、意志の表れとして出席しない。
そのため、元来なら参加を見送らせていただく案件なのでした。
一方で、今回の『地蔵教由来』は、100周年という大きな大きな節目を祝うための公演です。一度きりです。垣根に固執してお祝いをしないのは、確かに寂しいことです。そしてこの作品にはなんの罪もありません。私は立場的にどうするべきか迷いました。
そんな折、
「私は出ることになったよ」
という言葉をもらいました。このブログにも何度か登場している東浦弘樹さんからです。劇団狸寝入りの顧問をされています。(現在の劇研究部は「劇団狸寝入り」と名乗って活動しています)。
東浦さんが出演なさるということで、私の心は決まりました。この公演だけは、特別に出演させていただこう。
「私は出ることになったよ」
の言葉に救われました。
面白いことも判明しました。『地蔵教由来』の演出は増田さんで決定したとのこと。『リハーサル』パリ公演のメンバーです。
パリ公演の男性陣が全員揃ってしまいました笑
『地蔵教由来』は、昭和初期に活躍した人気作家久米正雄の戯曲です。
100年前の劇研の先輩たちが旗揚げ公演として上演しました。大変な盛況だったようで、それを伝える記事が今でも残っています。
今回はその時の興奮に少しでも近づけるよう、また、いろいろな立場のメンバーが参加できるよう、朗読劇に再構成しての上演となりました。
私はといえば・・・少し張り切りすぎてしまったかもしれません。稽古も本番も、大きな声で元気よくハツラツと、新人のつもりで一生懸命に取り組みました。
節目の公演として、大成功だったように思います。
関係者の皆々さま、ありがとうございました。
この記事を書いた人
西宮市で演技レッスンをしています愚禿堂“グトクドウ“の中野です。愚禿堂“グトクドウ“は、演劇を体験してみたい方向けにワークショップを開催したり、すでに俳優として活動しておられる方にはマンツーマンでのレッスンをさせていだく演劇教室です。演劇を習い事の一つとして選択していただけるように日々研究をしています。